現役ファンドマネージャーの徒然帳

現役債券ファンドマネージャーの気まぐれブログ

圧倒的主観に基づいた主要アセットマネジメントのイメージ

 

前回の続きで、今回は主要な日系アセマネの印象を書くことにする。本当はイエレンとか日銀とかバブバブバブルとか色々ネタはあるんだが、仕事で嫌になる程考えさせられているから、また別の機会に。。

最初に述べておく。これは私の雀の涙レベルの人脈を頼りに、完全な主観に基づいて執筆したものであり、内容の確実性に対する担保は限りなく低いと思っていただきたい。ただ、私もここで挙げたどこかのアセマネで働く身として、同業他社を批判するというよりは、アセマネ全体を自虐するものとして読んでいただけると幸いである。

 

 

野村アセット

自他とも認める国内アセマネの雄。海外拠点を持つ日系アセマネは多々あるが、まともに機能しているのは野村と日興くらいと言ったところか。ただ、野村 HDの給与引き下げの煽りを野村AMも受けており、給料はやや低下傾向、さらには業界内最高峰の住宅手当も縮小。加えて、もともと自社ビルを構えていた日本橋エリアの再開発に伴い、本社が豊洲に移転したことも、就職という観点からは人気をやや下げる要因になる。

とはいえ、日系で業界最高峰の待遇であることには変わりなく、転職マーケットで案件が出てくると応募殺到らしい。

今は知らないが、以前は新卒採用における、3次面接(部長クラス+人事部長)で泣きを見る人が多かった(4次だったかもw)。

 

大和アセット

旧大和投信投資委託が昨年に名称変更。これは、大和住銀が三井住友アセットに吸収されたことも影響か。投資顧問業協会にも所属しているが、旧社名の通りメインプロダクトは投資信託の運用。

中途採用はほぼ行なっておらず、新卒プロパーか大和証券出向組が大多数を占める。業界内でもここの給料の低さは噂になっており、そこそこの住宅補助が出ることと、親会社同様、出産手当など子育て関係の福利厚生が手厚いことが取り柄。

私が認識している限り、日系アセマネでコース別採用を最も早く始めた会社。

 

岡三アセット

正直言わせていただく。良くも悪くも評判を聞かない会社。書くことがなく、困っている。

運用残高は多くなく、他の大手アセマネと比較すると知名度で劣るが、新卒採用はやっているし、某大学の研究室は推薦枠を持っている。

 

三菱UFJ国際投信

三菱信託の子会社。近年のアセマネ大合併の発端となった会社である。三菱UFJ投信と国際投信が合併。他の会社と比較して、三菱プロパーの結束が強い印象がある。 今となっては唯一と言っていい、アセマネで業務職(一般職)を採用している会社。なんだかんだ、アセマネも男世界なので、女性比率を増やすことが目的なのか、はたまたそれでうまく回っているのかはわからない。

ちなみに、同じ三菱系のアセマネとしてMU投資顧問があるが、こちらは一時期HPを探すのが困難なほど、ひっそりしている会社であり、新卒もやっているか怪しいが、公的年金などそれなりの規模の受託残高はある。

 

三井住友DSアセット

三井住友系。「DS(大和住銀)」が示すように、少しだけ大和証券の資本も入っている。銀行系の合併の最後となった会社(たしか)。

SMAM2015年にかけて、中途採用を積極的に行なっていた印象がある。しかし、合併で本社が神谷町の森タワーから愛宕ヒルズに移転し、コストが相当かさんだようで、給料が12割削られたらしい。コロナ禍もあるだろうが、お粗末な話である。ちなみに、旧大和住銀は3000万円級のファンマネが一定数いたようである。

給与低下はあっても、海外大学院派遣がある数少ない日系アセマネではあるため、新卒でさっさと海外行って転職するのが、一番良いキャリアパスか。

 

アセットマネジメントOne

みずほと第一生命の子会社。三菱の翌年に、DIAM、みずほ投信、新光投信、みずほ信託銀行の運用部門が合併してできた。いかんせん、4つの会社を一度にまとめたため、合併は成功とは程遠く、待遇の低下にブチギレた旧DIAMの社員の大量流出があったらしい。加えて、新卒プロパーが継続的に辞めていくことから、転職リクルーターからアセマネ界の人材育成会社と呼ばれていたのは印象的。

この名前が新聞でお披露目されたときは、誰もが目を疑ったに違いない。

 

三井住友トラストアセット

三井住友トラスト系。一応この会社も旧SMTAMに住信の運用部門が統合したため、合併したと見なすべきか。仮にそうだとすると、銀行系の統合の中で唯一マトモな統合だろう。今後、アセマネどうしで合併があるとすれば、日興アセットとここの合併だが、日興アセットの個性が強すぎてきっと無理だろう。強引にしようものならそれはもう大変なことになる気しかしない。

ここ45年くらい新卒採用を行なっているようで、少し前までは、中途でも未経験総合職を募集するなどしていた感じである。

 

日興アセット

こちらも三井住友トラスト系。ただし、日興の名が示すように旧シティ系の流れもあるため、上司が外国人だったりと、半分外資に足を突っ込んでいる。野村アセットと並んで、海外部門がマトモに機能している数少ない日系アセマネ。逆にこの2つ以外の会社は、半分お飾りだと思って構わないだろう。

ここ10年近く新卒採用を行なっておらず、そのため、この会社で働くには、中途採用を目指すしかなかったが、HPを見たところ、2022年度から新卒採用を始める雰囲気を醸し出してるではないか・・!

給料は野村アセットに次ぐ高水準であり、非常に魅力的な日系アセマネ。

 

ニッセイアセット

日本生命の運用部門。新卒の給料は本体と比較しても、業界平均で見ても低い部類に入るため、同じアセマネで内定が出れば蹴られる会社。中途採用で入るのは悪くないらしい。。大手だが、知り合いがいないため、情報なし。。

 

東京海上アセット

東京海上の資産運用部門。この会社も、ここ23年新卒採用を始め、若手の中途採用も積極的に行なっていた。

この会社の大きな強みとして、不動産投資などオルタナティブ投資が挙げられる。普通アセマネは投資信託協会と投資顧問業協会に加盟するのが常であるが、東京海上アセットは不動産証券化協会などにも加盟しており、他の会社とレベルが全く違う。

給料もよく、転職で案件が出てきたら、積極的に狙っていきたい会社。

ちなみに、東京海上アセットとアセマネOneは同じ鉄鋼ビルに本社が入っている。この2社間では転職しにくそうである。

 

レオス・キャピタルワークス

藤野氏率いる、ご存知ひふみの運用会社。独立系でおそらく最も有名な会社だが、最近SBIの資本が流入した。そういや、上場を目指していて直前に取りやめになったが、あの話は今どうなったのか。

ひふみの規模でここまでのパフォーマンスを出せるのはやっぱりすごいし、購入を一考する価値は十分あるが、債券市場が死んでいる時期に債権運用を始めるとは、謎でしかない。バランスファンドの運用を始めるということだが、バランスファンドは東京海上の円奏会のように話題をさらったものもあったが、コロナ禍で一気にやられたように、株の運用ほど簡単ではない(債券と株の運用、さらにバランス型の資産運用は全く別物である)。

失敗して、これまでのブランディングが無駄にならないよう頑張ってほしい。

 

他にも日系でも色々あるし、外資もそれ以上にあるのだが、疲れたのでこの辺でおしまい。ちなみに、外資は規模を問わず、日系大手アセマネよりも給料がよく、日系アセマネにいる人の多くは外資アセマネへの転職を虎視眈々と狙っている。

 

(参考)各社の平均年収

下記に、アセマネが公表している財務諸表から平均年収を算出したので参考に記しておく。

 

(単位:万円)

野村AM…1505

大和AM…833

三菱UFJ国際…943

三井住友DS…1256

AMOne…1334

SMTAM…967

日興AM…1761

ニッセイAM…925

東京海上AM…1011

 

こんなの計算したのは就活の時以来だが、やはり野村と日興がずば抜けている。やや印象と異なる点としては、東京海上が低いことと、三井住友DSAMOneが思ったより高かったことだろうか。

 

参考までに外資は

BlackRock…1858

JPMAM…1977

 

すごい。明日にでも転職したい。

ではまた